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春料理完成!
皆様、こんにちは。


今日は春のお献立の料理撮影を致しました。

毎回、次はどのような料理内容を組み立てようか頭を悩ませます。
当館は料理長だけでなく専務やわたくし、知佐ねーさんも加わり一緒になって考えます。
料理の内容如何でお客様からの評価はすぐに宿全体の評価としてシビアに反映されるため、妥協してはならないとても大切な話し合いを何度も行います。
そして今回も試作を何度も重ねてやっと決まりました。

屋号の「ひいなの湯」にとっては春というのは一番当館の持つイメージを表現できる時期。なぜなら、当館のロゴにもなっている桃の節句がある時期だからです。
で、今回出来上がったのはこの料理。初お披露目!!



最近は、食べ物に対してもエコブームなのでしょう、ひと昔前のような“食べきれないほどのお料理”を出すと逆に叱られる世の中になってまいりました。
私自身ももったいないのが大嫌いなので、いつでも出されたものは綺麗にいただきたいと思います。
だからというのではないですが、“食べきれない分量”のお料理を出すことはただ単に宿側の自己満足なのでは?と思っています。 料理人にしても宿の経営者にしても食に携わるものは、食材に対して慈しみと感謝の心を忘れず、何でも最後まで使いきり更にはお客様に完食していただく事が務めなのかなと思います。 

考えても見てください。普段の夕食はせいぜい一汁二菜くらいでお腹一杯になるのに、旅館においては次から次へと10品ほどのお料理が並ぶのです。一日だけの贅沢だからいいものの、こんな食事を毎日続けていたら確実に病気になります。
かといって品数を減らすと貧相になる、お客様の評判も落ちる、となると分量で調整するしかありません。

当館では、食べきれないほどのお料理は出さず、最後のご飯物を食べていただいてもうお腹一杯で入りません、というのがいいのではという考えです。それでも多いと叱られます。


そして、お食事時にご用意する「お献立表」について。
皆様ご存知でしょうか、一流と言われる老舗の割烹料理屋さんは「お献立表」など決して用意されないのですよ。なぜなら不粋だからです。そういうところには当たり前に一流の辣腕の仲居さんがいて、事細かに料理説明するのが当たり前だからです。その場で交わされる「会話」こそが重要なのです。
お献立表どころか、日本の高級料亭には値段の表示すらしていないところも少なくありません。
見えないものにお金を払うこと=おもてなしの価値、この図式があるのです。

最近はどこの旅館さんでもお献立表を用意なさるところが多くなりました。
私どもでもお客様のご要望にお応えすべく、なるべくお付けするようにしております。
本当に目指すところは、お献立表などなくても手取り足取り空気を読める仲居さんの育成。
これは料理内容とともにこれからの永遠の課題です。



| hiina | 22:53 | comments (x) | trackback (x) | マジメな旅館のお話 |
和歌山加太の旅館、淡嶋温泉大阪屋ひいなの湯。夕陽の眺めが美しい露天風呂と新鮮な魚料理をお楽しみいただけます。

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おもてなしとは?
皆様、こんにちは。

しっかし寒いですね~。加太も今日は雪がちらちらと舞っていました。


さて、一昨日は一番下のチビの7回目のバースディで家族で外に食事に行きました。
行き先はちょっと特殊な店舗で、大正時代に和歌山の某企業の会長さんが所有していた別荘に少し手を加えてお店にされています。重厚な和の雰囲気がとても素敵。

大きな門構えに繋がる長いアプローチを歩き、きちんと手入れがなされた趣のある日本庭園を望む和室に、テーブルと椅子が間隔を空けていくつか配置されています。

一見、敷居が高そうなしつらえで、子供連れでご迷惑を掛けないかなと心配しましたが、その心配は全く不要でした。なぜなら、ふだん外でそんなに不満を覚えることがない私でも、怒り心頭になるくらいサービスのレベルが最低でした。同業他社を批判するのはどうかと思いますがお許しください。他人のふり見て我がふり直せ、ある意味とても勉強になりました。


サービス業である私が客の立場になるとき、やはり全てにおいて自分と比較してしまいます。めちゃくちゃシビアな目で見てしまいます。これは一種の病気です。同業の知り合いの中には、外で嫌な思いをしたくないが為に高級と言われるホテルにしか泊まらないと決めている方もあります。その気持ちはとてもよくわかります。


「おもてなし」とは持って成すと書きます。自分の家にお客様を迎え入れ、喜んでいただくため出来うる限りの手段で歓待する。そこには必ず心がこもっていなければいけません。
いつも、旅館は旅館のやり方でお客様をもてなすのが一番だと思います。その土地の風景、慣習、食べ物、人柄。必ずその土地ならではの持ち味があります。

お客様も「郷に入っては郷に従え」で自分に合わせるのではなく、自分が合わせてそれを楽しむのが一番大人な遊び方だと思います。
「私たちの今持っているものを成すことしかできませんが、どうぞゆっくりと楽しんでお過ごしください。」
この”心”こそがおもてなし、と言えます。
エラそうなこと言っても、ウチもまだまだなんですけどね。叱られることもありますから。



そう、それで、先ほどのお店。
行儀作法も全く知らない若い女の子に上辺だけのお上品な着物を着せ、判で押したようなマニュアル通りのサービスをしていては「おもてなし」を売る商売としては論外です。ハードにソフトが全くついていっていない、これは非常にもったいないこと。悲しくなります。
せめてマニュアルくらいきっちりと覚えてくれ~~泣・・・とお願いしたくなります。

帰り際、10%のサービス料がプラスされ、ついに怒りが爆発。
「せめてサービス料を取れるサービスができるようになってくださいね」・・・にっこりチクっと言わずにはいられませんでした。苦笑

主人曰く、「うお~こえ~~」。
言ってあげることも親切だわ、だって和歌山のためだもん。


| hiina | 18:12 | comments (x) | trackback (x) | 徒然なる思い |
和歌山加太の旅館、淡嶋温泉大阪屋ひいなの湯。夕陽の眺めが美しい露天風呂と新鮮な魚料理をお楽しみいただけます。

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13回めの懺悔
皆様、こんにちは。

言い訳ですが、毎日本当にいろいろと忙しくてブログの更新ができないんですう・・・ってかわいくないか。
ですが、今日のような土日などは平日よりスタッフが多く、逆にゆとりある時間を持つことができるのです。


今月17日、あの阪神淡路大震災から13年が経ったとのこと。
もう13年、でも被害に遭われた方ご家族を亡くされた方にとってはつい昨日のことのようでしょう。

つまらないことでしょうが、私にもどうしても拭い消せない後悔の思いがあります。

その当時まだ20代半ばの私は、京都で一人暮らしをして大阪の支店にJRを使い通勤をしておりました。
京都でも震度4~5はあったでしょう。突き上げるような強烈な揺れにびっくりして飛び起きました。
余震の不気味さにそのまま眠ることも出来ず、少しでも情報を得るためテレビを見ていました。しかし、神戸のあの惨状を知ったのは随分時間が経ってからだったように記憶しております。

災害時はすぐ交通機関に影響が出ます。
まず私の通勤の手段であるJRがすべて止まっているのをテレビで知りました。私鉄の京阪電鉄や近鉄などはどうだったか覚えておりませんが、おそらく直後からストップしていたと思います。
とにかく、JRが止まっている、足がなければ仕事に行けない、行けるはずがない。その他の前向きな考えなど微塵も浮かびませんでした。それに、こんな緊急非常事態に駅に向かってもどうせ人で溢れかえっているだろうし、何かあったらかえって危険だし、それよりもそんな苦労するのは面倒くさい、というのが正直なところでした。

結局その日は家でずっとテレビを見ながら待機しておりました。会社に2、3度電話をしても話中だったためすぐにあきらめ、それ以降はほったらかしでした。
次第に神戸のあまりに無残な状況がわかるにつれ、テレビ画面から目を離すことが出来ず、そして「やっぱり家にいて正解だった。行かなくて良かった」と安堵して何も疑うことのない自分がいました。

結局、JRは終日運休していたのでしょうか、定かではありませんが、午後からは私鉄などは徐々に運転し出したようです。
次の日、会社には平常通りに通勤できました。
会社に行って同僚と昨日起こった非現実的な現実を興奮気味に話し、自分が会社に向かわなかったことを“とても正しい判断をした”、とどちらかといえば自慢気に話しました。

その瞬間、傍で何気なく聞いていた上司がひとこと言った言葉、
「それがダメなんや、わからへんか」。
言われた直後は意味があまりわかりませんでしたが、後になってようやく理解できたとき、本当に精神的に未熟な自分に恥ずかしさのあまり消え入りたい気持ちになりました。

たとえ地震になっても社会は日常と同じように回っています。いえ、緊急事態には普段以上に人の手と協力が必要となります。私はそのことを全く判っておりませんでした。
現に交通機関が止まっている、そんな大変な中でも人ごみの中を何時間も掛けて辿り着いた社員が何人かいたのです。朝に家を出て、ようやく会社に辿り着いたのは夕方だったとのこと。

それに比べて自分はどうでしょう。どうしてあのとき無理をしてでも行かなかったのか?
責任感のない怠慢な自分を心底恥ずかしく思い、自分のいい加減さが情けなくなりました。

この時期、地震のニュースが流れるたび、後悔の念に苛まれます。
いまさら、でしょうが、同じ間違いを2度とすまい、その後悔の気持ちを忘れないようにすることにこれからの意味があると思っております。



| hiina | 23:57 | comments (x) | trackback (x) | 徒然なる思い |
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