2009-11-20 Fri
皆さま、こんにちは。深夜です。
今日は内輪の話をしましょうか。
一般的に旅館のお料理の原価率は宿泊費に対して20%くらいが理想と言われています。もちろん朝夕2食分です。
経営者として原価率はもちろん低いに越したことはありません。
しかしながら、海の前の旅館で原価を下げることは結構大変なことなのです。
ご存知のとおりお魚はお野菜より値が張る。加えて漁村の旅館とくれば、否が応でも活きのいい魚介類への期待は高まる、ただ100%お応えしていてはこちらが成り立たない。
ですからお客様の期待を裏切らないようぎりぎりのところでの商売になります。
そこで、料理長の手腕が問われるところ。
不景気だからと今までのやり方を覆すような手法では逆に客離れを引き起こします。
今は我慢の時。
ありがたいことに、まだ30代ですがアイデアも腕も管理能力もキレる素晴らしい料理長に恵まれ、お料理に期待してお越しいただくお客様も着実に増えてまいりました。
また、その他には大きな割合を占める人件費、光熱費や広告宣伝などの固定費。税金・・・。
細かくはお客様の歯ブラシに至るまですべてお金がかかります。
本当のところ、支出が多くて収入などわずか・・・。
私どもは平均宿泊単価が15,000円ほどの小規模旅館。
不景気といわれる現在、平日の客室稼働率は情けないほどの数字です。
施設にしても躯体自体は昭和の建物、古さをカバーするためにリニューアル工事を繰り返して、時代への対応に苦慮しています。
そして、施設は多少難ありでもお料理の質は下げずにリーズナブルな料金設定をして、さまざまなお客様へ発信できるようにしております。
たいていのお客様はこちらの台所事情をなんとなく理解なさっているのがわかります。
情報がすぐに手に入る時代ですから十分予習されていますし、何より同じ働く人間として好意的に見てくださる暖かい方ばかり。
中にはこの若輩者を助けてやろうと、本当に親身になった貴重な意見をいただくこともあります。
ただ、少数ですがまったく想像力を持ち合わせてない方もいらっしゃるのも確か。
そういう方ほどとても厳しいご意見をいただき・・・正直ヘコみます。
ぎりぎりの線での値段設定、その中で精一杯のお料理と設備・・・どうぞご理解くださいとお願いしたい。
これは、おそらくどこの旅館さんでも声を大にして言いたいことです。
このように旅館ホテル業界というのはなかなか大変です。
和歌山は倒産率が全国ワースト1位だとか、不名誉な事実もあります。
すべてのお客様にご満足いただくことは叶いませんが、そうであろうと一生懸命にがんばっているのは上を見ないと後退するばかりだから。
常に学び上を目指すから社会も発展する。自分も磨かれていく。
生きる ということは結局そういうことではないでしょうか。
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