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持ち込み
友人には小学校3年生と幼稚園の年長さんの二人の息子がいます。

ある日、お兄ちゃんが学校からほっぺに大きな傷を作って帰って来ました。理由を聞くと「転んだ」としか答えません。不審に思っていると、しばらくして担任の先生から電話がありました。「どうも、お友だちとけんかをしたらしい」とのこと。
実は、幼稚園の次男にはとても強い食物アレルギーがありました。小麦、大豆、鶏肉、卵、乳製品、甲殻類、青魚、ナッツ類・・・。ですから家族そろって外食など、一度も行ったことがありませんでした。長男は「ファミリーレストランに行ったことがない」という理由でいじめられたのでした。
ついつい手のかかる次男のことばかりに気を取られ、聞き分けのいい長男の寂しさやひそかな我慢に気が付かなかった友人はショックを受け、すぐにファミリーレストランに連れて行くことにしたそうです。

ですが、次男のことを考えると、どうしても食べ物を持ち込ませてもらえるレストランが原則です。レストランで持ち込みなど到底断られるに違いない、そう思いながらも友人はひょっとしたらという思いで電話をしました。

最初に電話をしたレストランは友人が事情を話す間もなく「無理ですね」と断られました。2度目のレストランは「社のきまりですから、申し訳ありませんがお持ち込みはご遠慮願います」とのこと。やっぱりだめか・・・ため息をつきながら、でも長男の傷のある顔を思い出し、どうしてもあきらめられず3件目に。
出てくれたのは店長らしき男性でした。
友人の切なる声に店長さんは最後まで事情をよく聞いてくれたそうです。次男のアレルギーのこと、長男が学校でいじめられたこと、そしてどうしてもレストランで食事をしたいこと、そのために次男の持ち込みを許して欲しいこと。しばらく考えていた店長さんは「わかりました。私が責任を持ちますから、ぜひいらっしゃって下さい」と仰って下さったのです。

夜になり、初めてのファミリーレストランへ家族そろって出掛けました。
電話の店長さんがにこやかに迎えてくれました。そして席に案内すると、「一応決まりですから、お持ち込みのものをチェックさせていただけますか?」とのこと、友人が用意してきたタッパーを持って立ち去られました。

「さあ、なんでも好きなもの頼んでいいよ」お父さんと友人がそう言うと、長男は「お子様ランチが食べたい」。もっと豪華で美味しそうなメニューが山ほどあります。でも長男は他のメニューに見向きもしません。そう、“お子様ランチ”を食べることが長男のささやかな夢だったのでした。両親は顔を見合わせ、こんなにも我慢させて可哀想なことをしたと本当に反省したそうです。

10分ほど待って、長男の前に万国旗が立った美味しそうなお子様ランチが運ばれてきました。長男は目をキラキラ輝かせながら喜びました。
すると、そのとき。すぐあとから店長の手でもう一つプレートが運ばれました。なんと。それは友人が店長に渡したタッパーに入れていた食べ物でした。それがお子様ランチに変身し綺麗に盛り付けられ、そしてお兄ちゃんと同じ万国旗が立てられていたのです。
友人はもう言葉になりませんでした。お子様ランチも子どもたちの喜ぶ顔もみるみる涙でかすみました。「ありがとうございます」それだけ言うのがやっとでした。


友人ファミリーにとってこの感動的なできごとは一生忘れることはないでしょう。

心のある店長さんの素晴らしさに拍手です。軟弱で利益至上主義の人が多い中、これでこそオトコマエですね。

外食産業では持ち込みに悩むところも多いと思います。常識ある大人ばかりではないですから。
旅館でも同じ。館内で飲み食いされたもので万が一食中毒や事故があれば、責任は免れないからです。


お客さまと受け入れる側が納得してあるもの。
持ち込みとは本来そういうものであるのでは、と考えさせられた感動的なお話です。皆さまはどう思われますか?




| hiina | 18:27 | comments (x) | trackback (x) | 徒然なる思い |
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